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腫瘍マーカー(がん)検査でわかること


早期がんの検査

検査の目的:食道がん、大腸がんなどのリスクを調べます

検査項目 解説 検査でわかる

p53抗体
■基準値範囲
~1.2 U/mL

他のがんマーカーはがん細胞が作り出す物質を測って陽性率を調べていますが、p53抗体は、がんを抑制している遺伝子の変異に対して、体内で作られる抗体の量を調べます。それによりがんの発生部位の特定には向かないと言われていますが、比較的早期のがんで要請になる特性があります。それゆえ、たのがんマーカーの陽性率の重なりが少ないため、組み合わせで検査することが有用です。

※他のがんマーカーと同様、がんの場合に必ず要請になるものではありません。検査値が基準値以下であっても、体内不良を感じる方は医療機関で相談されることが必要です。

【p53抗体が上昇するとき】 p53抗体では臓器特異性が少ないこともあり、陽性時は全身のスクリーニングが必要です。 年齢、性別からある程度高発部位を推定して精密検査を行う必要があるため、結果が要請の場合は医療機関での総合的な検査を受診されることをお勧めします。


前立腺がんの検査

検査の目的:PSAの量で前立腺の状態を調べます

検査項目 解説 検査でわかる

PSA
■基準値範囲
~4.0 ng/mL

PSAは、前立腺上皮及び尿道周囲線で産生される糖タンパクで前立腺特異抗原と言われています。PSAは、前立腺がんにより血中に増加してくるので、前立腺がんの診断と経過観察に非常に重要な腫蕩マーカーです。
 近年我が国における前立腺がん患者の増加は著しく、近い将来の増加率は全悪性腫瘍の中で1位になると予想されています。前立腺がんは初期に症状が出にくく、直腸診や血液検査でPSAの値から診断されるケースが増えています。

【基準値以上になったとき】
前立腺以上の可能性がありますので、泌尿器科の受診をお勧めいたします。前立腺以外にも、前立腺炎、前立腺肥大症などの疾患にて高値となることがあります。


乳がんの検査

検査の目的:乳がんの再発や転移に対して、治療の効果を判断するための指標となります。

検査項目 解説 検査でわかる

CA15-3
■基準値範囲
~25.0 U/mL

再発の治療中は、定期的に検査をして、治療効果を確認したり次の治療を検討したりする際に参考にします。なお、腫瘍マーカーの数値が高いからといって何かが悪いということではありません。あくまでも変動をみて治療の効果や病状の変化を知るためのものです。
 腫瘍マーカーだけで何かがはっきりわかるわけではありませんので,数値に一喜一憂しないようにしましょう。

【基準値以上になったとき】
治療後の経過観察中に腫瘍マーカー を測定し,数値が上昇していた場合 は,1~3カ月後に再度検査して慎重 に経過を観察するとともに,他の検 査も併せて行い転移がないかを探し ます。


胃がんの検査

検査の目的:胃の萎縮度やウィルス感染の有無などから胃がんのリスクを調べます

検査項目 解説 検査でわかる

ペプシノゲン
■基準値範囲
PGⅠ値が
70.0ng/mL以下
かつ
PGⅡ比3.0以下の場合
陽性

 胃粘膜の萎縮(萎縮性病変)が進むと胃がんになりやすいことが知られています。このペプシノゲン検査法は血液中のペプシノゲンの量を測り、胃の粘膜の萎縮の程度を判定します。ペプシノゲンにはペプシノゲンⅠ(PGⅠ)とペプシノゲンⅡ(PGⅡ)の2種類あり、胃の萎縮状態が進むにつれて血液中のペプシノゲン量は低下していきます。
 胃の萎縮度は、PGⅠの測定結果とPGⅠ/PGⅡの比率の組合せで判定します。PGⅠの測定結果が単独で低い場合より、PGⅠも低くかつPGⅠ/PGⅡの比も低いという場合のほうが、萎縮度が進んでいる(強度の陽性)といえます。PGⅡはPGⅠとの比率を出すために測定しますので、単独での測定結果はそれほど重要ではありません。
 なおペプシノゲンⅠ/Ⅱ比は、十二指腸潰瘍では高値を示し、胃潰瘍では低値を示す傾向となります。
※判定が陽性の場合は、必ず定期的な胃がん検診の受診をお勧めいたします。

【ペプシノーゲン法で陽性になったとき】 胃粘膜の萎縮性変化が進行しています。この変化は胃がん発生の引き金になりますので、内科にて精密検査(内視鏡検査やバリウム検査)を受診されることをおすすめいたします。胃がんはまだまだ多い病気ですので、今後も年に一度の検査の継続をおすすめします。

ヘリコバクター・
ピロリ抗体
■基準値範囲
~9.9 U/mL

 

ヘリコバクターピロリは、胃の内部に生息する細菌です。 消化性潰瘍や慢性胃炎などを引き起こすと言われています。とくに胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃炎などの患者の胃の内部でよく検出されるため、これらが原因細菌と考えられています。また、最近の研究では、ピロリ菌感染と胃がん発生には、胃がん患者の90%以上がピロリ菌陽性であるというデータもあることから、何らかのかかわりあいがあると示唆されています。しかし、陽性となった場合、現在胃のなかに存在する細菌によるものなのか、それとも過去の感染によるものなのか区別がつきませんので、その認識がまず必要となります。 ※ピロリ菌には抗生物質の組み合わせによる除菌治療が広く用いられるようになりました。基準値以上になった場合には、医療機関で受診し、医師の指示に従ってください。

【基準値以上になったとき】
ピロリ菌感染の検査そのものは、がんの存在を調べるものではありません。今回の検査結果が基準値を超えたからといって、がんと結びつけることはございません。まずはきちんと医療機関で受診し、現在のピロリ菌の感染状態の識別、医師による総合的な判断を仰ぐことが必要です。


子宮頸がんの検査

検査の目的:子宮の入り口部分に発生するがんを調べます

検査項目 解説 検査でわかる

HPV
■基準値範囲
陰性

 HPVとはヒトパピローマウイルスの略で、子宮頸がんの原因とされるウイルスのことです。HPVに感染していなければ子宮頸がんにはなる可能性は極めて低いと考えられています。HPVは、主に性交渉によって感染し、性交渉経験がある約80%の女性が50歳までに一度は感染するといわれているウイルスです。

【陽性の判定のとき】
HPVはごくありふれたウイルスで性交渉の経験のある女性なら誰でも感染の可能性はあります。ただし、HPV陽性ということは子宮頸がんに病変するリスクがあるということですので、医師の指示に従い、精密検査や定期検査を受けてください。